今回の九州旅行は、良くも悪くも「行き当たりばったり」でした。
風の吹くまま気の向くまま、で、寅さんのような気軽な旅で、偶然の事件が思い出になる…これはこれで楽しいことです。
ただ、「効率よく観光地をまわる」という点では、失敗といえるかもしれません。
今回、私が「ここに行っておけばよかった。もっとちゃんと旅程を組んでいたら、行けたのに」と思う場所が1つあります。それは、福岡市博物館です。
ここは、あの有名な「漢委奴国王」の金印がある博物館です。
『後漢書東夷伝』によると、後漢の光武帝が建武中元2年(57年)に奴国からの朝賀使へ(冊封のしるしとして)賜った印がこれに相当するとされています。
この「紀元57年」は、日本史を習う際に、最初に登場する年号として有名です。
語呂合わせ「こんな(57)立派な金印ゲット!」と覚えるそうです。
紙や木でできた文化財は、保存上の理由から、ホンモノの展示が制限されていることも多いのですが、純金製のこのアイテムは、その心配が少ない。当博物館では、ホンモノが常設展示されています。
その昔、日本の国内で勢力争いをしていた一派が、他の派閥に対してハクを付けるため、中国皇帝に貢物をして、その権威を利用すべく、こういうモノを手に入れた、という史実を裏付ける物的証拠ですね。
似たようなことは、現代のいろいろな場所でも起こっています。
こうした人間の群れの習性は、2000年の時を経て、科学が発達した現代の社会でも、全く変わっていない、ということが私には興味深く思われます。
私はこれを「理系の知識(IT技術など)は時間と共に大きく進歩するが、文系の知識(人間の行動心理学など)は、進歩しない」と表現しています。
タイムトラベルの映画や小説のテーマは、常にこれですね。
主人公は、過去の世界にタイムトラベルして、過去の世界ではまだ発明されていない文明の利器を使って、大活躍をします。しかし、同時に、過去の世界から人間として大切なことを学んだ上で、元の現代の世界へ戻ってくる、というあらすじです。
テレビドラマ『仁ーJIN』もそうでしたし、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もそうでした。
それはともかく、九州福岡の歴史といえば、やはり大陸との関係史ですから、この超有名な金印、見ておけばよかったなあ、と思っています。
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福岡市博物館は、博多区の西方向にあります。
今回まわった、元寇防塁や、福岡城、鴻臚館跡、などと同じ方向ですね。
だから、もう少し旅程をうまく組んでいたら、福岡市博物館も回れたのに、とちょっと残念です。