昨日の記事で、実務質疑の「食べられない」問題を類型としてご紹介しました。
過去問を再掲します。
(1)2018年度 時間帯3「ハラル食」(『2018-19過去問詳解ダイジェスト』掲載)
(2)2019年度 時間帯4「生魚が食べられない客」(『2018-19過去問詳解ダイジェスト』掲載)
(3)2021年度 時間帯5「蕎麦アレルギーの方への対応」(『2020-21過去問詳解ダイジェスト』掲載)
(4)2021年度 時間帯6「すき焼きの生卵が苦手」(『2020-21過去問詳解ダイジェスト』掲載)
(5)2022年度 時間帯3「冷たい駅弁は食べたくない」(『2022過去問詳解(上)』掲載)
さて、宿題は、観光客役の試験委員が「~は食べられないんだけど」と会話の口火を切ったとして、どう答えるか、でした。
これは、何か絶対的に決まった答があるわけではありません。
私が今回指摘したいと思ったのは、上記の過去問を見てわかる通り、「食べられない」理由には、いろいろなものがある、という点です。
たとえば(1)は宗教上の理由でポーク等が食べられない、というものです。そして(3)は、医学的な理由です。ちなみに、蕎麦アレルギーは、わずかな量の摂取でも非常に重篤な結果を生み出す可能性があります。
一方、(2)(4)(5)は理由がややハッキリしません。
お客さんから「~は食べられないんだけど」と相談された場合、ガイドが適切な対応を取るためには、食べられない理由を知りたいところです。
つまり、上記の宗教的な理由や医学的な理由であれば、これはかなり厳密な対応を取る必要があります(たとえば店を変える等)。
一方、単なる食わず嫌いであれば、「無理する必要はありませんが、トライしてみるのも一興ですよ」と勧める余地があります。
そうだとすれば、お客さんから「~は食べられないんだけど」と相談された場合、ガイドはこれに対し「食べられない理由は何でしょうか?」と質問で返す、ということが考えられます。
ただし、質問に質問で返す、というのは、その質問の内容と言い方に気を付けないと失礼になってしまいます。
これを適切に行うためには、①相手の利益を図る目的であり必要性があること、②それが伝わる適切な言い方であること、の2つが必要です。
ダイレクトに Why not? ではダメなわけですね。
じゃあどうするか、ですが、たとえば(2)の生魚の事例であれば、たとえば
Is he allergic to raw fish, if I may ask?
のようになるでしょうか。これを単に英語として発音するだけでなく、口調や表情等にも気を付ける必要があります。
このように、実務質疑は極めて高度な会話力を必要とします。ここが他の課題と違うところです。答の丸暗記だけでは、対応できません。
ホスピタリティを体現するには、笑顔だけではダメで、ちゃんと技術や知識が必要だ、ということですね。
このように、過去問は合格するために必要なことをたくさん教えてくれます。
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