既報のように、本年度の全国通訳案内士試験の願書受付が始まっています。今週には、観光白書の令和4年度版も出る見込みです。いよいよ今年もガイド試験始動!皆さま、張り切って勉強されているものと推察いたします。
近年は、二次口述の合格率が下がり、難化傾向が続いています。特にプレゼンは「日本的事物の説明」という通訳ガイド試験の中核ともいう課題として、ネックになっています。
そこで今回は、プレゼンの解答構成をシェアしたいと思います。
お題は「障壁画」で、2021年度に出題されました。今月下旬発売予定の『モデル・プレゼンテーション集 過去問編15』(特価予約販売受付中)に掲載されます。
さて、まず障壁画とは何か、を知らないといけませんが、主に16世紀から17世紀にかけて、城郭や寺院などの内装(襖、屏風、天井、壁など)に描かれた豪華な画のことです。狩野派のものが有名で、教科書にもよく載っています。
さて、そうすると、このお題は「具体的な観光アトラクション」ということになります(外国人観光客に「どうぞお楽しみください」と案内できるもの)から、プレゼンの構成は次のようになります。
1.導入部(約15秒)
①トピック告知(障壁画についてお話しいたします)
②定義(障壁画とは‥)
2.本体(約60+秒)
①由来・背景・一般説明
②具体例
3.結論(約15秒)
①まとめ・再抽象化(このように障壁画は‥)
②お勧め・結辞(どうぞ障壁画を鑑賞してみてください。ご清聴ありがとうございました)
1の導入部と3の結論部は、ほぼ定型文ですね。問題は2の本体です。
皆さんなら、どのようにプレゼンしますか?力試しのつもりで、よければ次回までに考えてみてください。
なお、ヒントとして障壁画が有名な観光地を2つ紹介します。
1つ目は二条城です。世界遺産ですね。
二条城の内部は、何千枚もの狩野派の障壁画で飾られています。
大政奉還が宣言された場所としても有名ですね。下の絵は、日本史の教科書でおなじみのもので、二条城の黒書院です。この絵にも障壁画を見ることができます。
ちなみに「大政奉還」は、2020年度のプレゼンに出題されています。
障壁画で有名なもう1つの場所は、名古屋城です。
名古屋城は、徳川御三家筆頭の尾張藩の城で、天守閣をはじめとした雄大な建造物が、江戸時代、明治維新を生き抜き、第二次世界大戦前までオリジナルが残っておりましたが、残念ならが空襲で焼失してしまいました。現在の天守閣は、戦後鉄筋コンクリート造りで再建されたものです。
障壁画で有名なのが本丸御殿で、これも二条城の本丸御殿と並ぶ貴重な遺構だったのですが、これも天守閣と共に焼失しています。
ただ、不幸中の幸いは、空襲の際、障壁画は別の場所に保管されており、焼失を免れていることです。
数年前に、本丸御殿が木曽檜を用いて完全に再現されたニュースは、記憶に新しいところですね(再建御殿の内部の障壁画はレプリカで、本物は別途保管されています)。
ちなみに、鉄筋コンクリート造りで再建された天守閣の方も、近年老朽化し、再再建の話が持ち上がっています。今回の議論の焦点は、木造で再建をするかどうか、そしてエレベーターなどのバリアフリー設備を設けるべきか否か、ということです。
さて、プレゼン構成に話を戻します。上記の情報を用いて、「障壁画」のプレゼンを次回までに考えてみてください。二条城ないし名古屋城の例は、2の②「具体例」にはめ込むことになります。
▶PEPニュース
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あなたならどう説明しますか?
『モデル・プレゼンテーション集 過去問編15』掲載トピック
1. 犬山城 2. 中秋の名月 3. (新)国立競技場 4. 里山 5. 七福神 6. わらび餅 7. IR(統合型リゾート) 8. 流鏑馬 9. 南部鉄器 10. 酉の市 11. かっぱ巻き 12. 五島列島 13. 彼岸 14. 高齢者マーク 15. 道後温泉 16. 五稜郭 17. 森林浴 18. 障壁画
・今週にも令和4年版「観光白書」発表見込み