前回の(9)では、私のネット起業の経験をお話しました。ネット上に自分の情報を置くことにより、新参者でも市場に食い込んでいける、という話です。
ネットデビューを躊躇される方の中には、顔出しに対する抵抗感を理由として挙げられる方もおられると思います。
もちろん、それは、各個人が自由に決めることです。しかし、よっぽど実績があり有名な人であれば別ですが、「自分は新規参入者だが、良いサービスを真摯に提供するので、信用してほしい」と市場に対して働きかけたいのであれば、その市場に対して自分の情報を開示するべきでしょう。
「自分の顔」で商売をしないのであれば、「他人の顔」、つまり会社の傘に守られて(雇われて)仕事をするしか仕方がありません。しかし職種により、それだとあまり条件の良い仕事ができないことが多いでしょう。新規参入者は特にそうです。
逆に、顧客フレンドリーにダイレクトに市場に働きかけていければ、新規参入者にもチャンスがある。それがネットの世界です。
私は、起業した際、サバイバルのためには何でもやろう、という気持ちでした。よって顔出しも躊躇しませんでした。
全国通訳案内士試験に合格し、晴れてガイドになろうとしたが、いい仕事は「上の人」が全部持って行ってしまい、新人には条件の悪い仕事しか回ってこない。これでは経済的にも困るし経験も積めない。こういったフラストレーションを抱えている人は、起業当時の私と同じ気持ちなのではないか、と思います。
実際のところ、私は顔出しをして何か不利益を被った、という経験はほとんどありません。せいぜい、無精ひげを生やして駅のホームでぼうっと電車を待っていたら、知らない人から急に「杉森先生では?先生の作られた教材のおかげで試験に合格できました。ありがとうございました!」と声を掛けられて慌てたことが2、3度あったことぐらいです(笑)。
何か不利益が生じるぐらい有名になれれば大したものです。費用をかけて広告を打ち有名になろうと頑張っても、そう簡単に有名にはなれるものではありません。人は皆、自分のことに忙しく、そうそう他人のことに意識を回す余裕などないものです。
要するに「やりたいけど、でも…」と躊躇する人は、自意識過剰であることが多い、ということですね。趣味でやるならひっそりとやって全然問題ありません。しかし、ビジネスとして現状を打ち破りたい、という強い気持ちがあるのであれば、デビューをすべきです。
(つづく)