合格後を考える(7)

前回、通訳ガイドを独立開業するためには、ネットを利用した情報発信が有効であること、そして、その具体的メリットである、①信用を得られる、②プレゼン能力が付く、③マインドが鍛えられる、④それ自体が収益源になる、⑤世界に向けて自分の商品を容易に伝えられる、のうち、③までをお話しました。今回は④からです。

④それ自体が収益源になる
これは、YouTubeに広告を掲載して広告料を得ることがその典型です。もちろん、そのチャンネルがある程度の規模にならなければまとまった金額にはなりませんが、可能性は無限大ですし、すでに述べたように、情報発信には直接的なお金以外のメリットがたくさんあることを考えれば、これは極めて生産的な活動と言えます。

今は特に外へ出る機会が減っていますから、ステイホームでできる情報コンテンツ作成は、時代に合っているとも言えます。

⑤世界に向けて自分の商品を容易に伝えられる
言うまでもなく、ネットを使った情報発信は、広告として極めて有効です。どんなに良い商品でも、消費者にその存在を知ってもらわなければビジネスにすることは通常困難です。ビジネスにおいて「自分の商品は高品質だから売れる」とばかり広告に全く投資しないのは、ナイーブだと言われます。

広告には、通常かなりのお金がかかります。しかしネットがある現代は、工夫次第で有効な広告がほとんどお金をかけずに可能です。それがネットを使った情報発信です。

その際大切なことは、まず自分がGiveすることです。相手にとって有益な情報をまず与える。そうするとファンになってくれる人が現れます。ファンとはYouTubeでいえばチャンネル登録者であり、Twitterならフォロアー、ブログなら閲覧者です。

ファンとは自分を好きになってくれる人のこと。そして人間、好きな人のことは自分から進んで調べようとします。消費者は、物を売りつけられることは好まず、自分で調べて買いたい、と思うものです。だから、ファンを獲得できればそれだけで最強の広告になるのです。こうした Win-Winを目指すことこそが、正しい商売だと私は思います。

潜在的顧客がいつでも自分にネット上で「会える」ようにしておけば、良い意味での「錯覚」が起きます。すなわち、一度も会ったことがない人でも「いつも安心して頼んでいる通訳案内士」であるかのように思えてきます。こうすれば、新人でも顧客からダイレクトにご指名をもらえるチャンスが増えることでしょう。

このように、自営業として通訳案内士をやろう、という人は、絶対に情報発信をやるべきです。名刺には自分のホームページやSNSアカウントを記載して準備すべきです。

エージェントから紹介される小さな仕事を受けたら、その際に出会った訪日外国人のお客様に自分のアカウントの書かれた名刺を渡し、バーチャルとリアルの両面で、こつこつと「自分の」ファンを増やす努力をされてはいかがでしょう。

そうすれば、その仕事自体の報酬はたとえ少額でも、その経験が将来につながる資産となることでしょう。このように、仕事において「より高い時給」を求めるのではなく、「資産として蓄積するか」を重視するのが「起業家マインド」だと私は思います。
(つづく)