先の2025年4月7日(月)に、JNTOより「2025年度全国通訳案内士試験ガイドライン」が公開されました。
昨年度のガイドライン公開は、2024年5月10日でしたので、昨年より1月以上早い公開になります。
今回、重要な変更点がありましたので、シェアいたします。
JNTOの発表は、こちら。新ガイドラインはこちらからダウンロードできます。
変更点1:共通テストが免除資格付与試験として認められた!
まず、一番ビックリしたのは、一次筆記試験の「日本歴史」及び「一般常識」の免除付与の資格試験につき、従前の「大学入試センター試験」に代わり、「大学入学共通テスト」が新たに認められたことです(ガイドライン5ページ中央部)。
センター試験は、2020年1月に行われたものが最後です(2021年1月より後継の「共通テスト」が開始)。「行われた日が属する年度から起算して5年以内」が全国通訳案内士試験の免除の要件ですので、昨年度2024年度の全国通訳案内士試験が、センター試験による免除を使う最後の試験となりました。
そして、これまでは後継試験たる「共通テスト」は、全国通訳案内士試験の免除付与の試験としては認められていませんでした。
しかし、昨年で完全に「センター試験」が終わった、ということを受けて、今年になって初めて「共通テスト」を免除付与の試験として認める、ということになったものと思われます。
センター試験に代わる免除付与の試験が認められたことは、受験者にとっては喜ばしいことですが、今年の共通テストはもう終わってしまったので、今年度の全国通訳案内士試験のために共通テストを受けることは、不可能です。よって、共通テストを使って全国通訳案内士試験の科目免除を得る、というのは、来年以降の戦略、ということになります。
つまり、今年度の全国通訳案内士試験は、センター試験消滅と共通テスト認証の端境期に行われるものであり、免除要件となる資格試験が1つ少ない年度の試験、ということになります。
受験者の立場としては、「もっと早く言ってくれていれば、共通テストを受けておいたのに」と言いたいですね。
今年度のガイドラインで発表した事項が、今年度の本試験には影響を与えない、というのも少し変な気がします。JNTOとしては、センター試験と共通テストを並行して免除資格試験として認めることを避けたかったのかもしれません。つまり、前者が完全に消滅するのを待って、発表に及びたかった、ということでしょうか。まあ、しかたないですね。
今回、重要な変更があったにもかかわらずガイドラインが昨年より大幅に早く公開された、ということは、JNTOとしては、今回の変更は、前々から決めていたこと、ということかと思われます。
変更点2:「通訳案内の実務」のテキスト改訂
従前、試験範囲となっていた「観光庁研修テキスト」が改訂され、「通訳ガイドテキスト(初版)」となりました(ガイドライン8ページ上段)。
JNTOの発表はこちら。
官公庁プレスリリースはこちら。
当該テキストのダウンロードはこちら。
PEP英語学校オンラインストアでは、従前、「官公庁研修テキスト」の印刷代行サービスを行っていましたが、今回の改定に合わせて、印刷サービスの対象を新テキスト「通訳ガイドテキスト(初版)」に変更いたします。現在、準備中ですので、しばらくお待ちください。
変更点3:「一般常識」と「通訳案内の実務」に「地図や写真等」が加わる
昨年度までは、当該2科目は、テキスト文字のみの出題でしたが、今年度より「地図や写真等」が出題される、ということになります(ガイドライン7~8ページ)。
変更点4:「日本歴史」と「日本地理」に「地図や写真『等』」が加わる
試験方法の最後の項目に、従前「内容は、地図や写真を使った問題も含まれるものとする。」とありましたが、本年度より「内容は、地図や写真『等』を使った問題も含まれるものとする。」(二重鍵かっこは筆者)のごとく、「等」の文字が加わりました(ガイドライン6~7ページ)。
この「等」が具体的に何を指すのかは不明ですが、何か写真でも地図でもない「イラスト」を用いることがある、ということかもしれません。
変更点5:中国語とイタリア語の外国語筆記試験免除に関する部分
中国語⇒ガイドライン4ページ下段で、漢語水平考試⇒中文水平考試
イタリア語⇒ガイドライン5ページ上段で、前年まであった「国際市民交流のための」を削除