通訳ガイド二次プレゼンのお題について考える際、最も大切な視点は「観光アトラクションか否か」です。
私は、従来から「出題の8~9割は観光アトラクションである。そして、観光は非観光よりも話しやすい。よって受験者は観光アトラクションを狙うべきである」と述べてきました。この点を今年度の出題につき見てみます。
観光アトラクションとは、そのお題につき「~をお楽しみください」といえるものを指します。たとえばお題が「源氏物語」であれば、これは「源氏物語をお楽しみください」(I hope you enjoy “The Tale of Genji.”)といえるので、「源氏物語」は「観光アトラクション」に分類されます。
反対概念は「非アトラクション・解説系」です。たとえば、今年の出題「2024年問題」(時間帯4)は、「働き方改革関連法による時間外労働時間の上限規制が2024年4月から適用されることで、物流や建設業界などにおいて生じるさまざまな問題の総称」ですので、到底外国人観光客に対して「お楽しみください」とは言えません。現在の日本における時事問題について解説する、という、純粋に解説自体が課題となるトピックです。
今年度の「非観光」は、時間帯2の「南海トラフ地震」、時間帯4の「2024年度問題」、の2問でした。
なお、人物や歴史的事象(「津田梅子」や「参勤交代」)を説明させる問題については、一般的な観光客の関心事といえるので「観光アトラクション」に含めて考えます。
トピックの総数が36題で、そのうち2題ですから、率としては1割未満です。やはり受験者として「観光狙い」という戦略は、妥当と言えましょう。