運営の「ゆれ」

2024年度全国通訳案内士試験二次口述(12/8日)まで、あと4日です。

資格試験では、公平性は絶対の要件です。よって、現場の運営者の恣意によって、運営の仕方が異なってはならないのが原則です。

しかし、実際には運営スタッフや会場によって、運営上の「ゆれ」が若干生じることがあります。

そんなとき、受験者が心に動揺をきたし、試験内容のパフォーマンスにマイナスの影響が出る、という事態は避けたいものです。

受験者としてあらかじめどのような「ゆれ」があり得るのか、ということをあらかじめ知識として持っておくことにより、こうした影響を最小限に抑えることができます。そこで、今回は実際の受験者の報告に基づいて、運営上、どのような「ゆれ」が生じ得るのか、をシェアします。

この問題については、『2023全国通訳案内士試験二次口述 過去問詳解(上)』の第5章「試験会場関連情報」にまとめてあります。同書をお持ちの方は、そちらもご覧ください。

2023全国通訳案内士試験二次口述過去問詳解(上)

なお、こうした貴重な情報は、先年までの受験者の皆様が、情報提供にご協力いただいたことの賜物です。今年受験される方は、ぜひ後進の方のために、本年度の試験について、情報提供のご協力をお願いします。

HPトップに、専用のバナーとフォームを備え付けてあります。

 

1.コロナ対策とマスク
マスクについては、昨年5月のコロナ五類感染症移行により、政府の立場は「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本」(厚生労働省)となっています。
これは、「自己のマスクの着用は、個人が自分で決められるのが原則だが、場合により、その場所の管理者がマスク着用を求めることも可能」という意味です。
受験者にとって問題は「面接室ではマスクを着用するのか」です。
五類感染症移行後、初めて行われた昨年度の試験では、面接室内でのマスク着用につき運営側の対応は「面接室内では試験官はマスクなし、受験者は自己で判断」が多数派でしたが、一部「受験者はマスクを外すように求められた」との報告がありました。
コミュニケーション上は、やはりマスクはしない方が有利ですが、受験者の判断に委ねられた場合、自分はどうするか、あらかじめ決めておくのが良いかもしれません。

2.トイレ・待合室での勉強
会場にチェックイン後、待合室で受験者は待機しますが、この間、行動制限がかかります。
受験者は、①大待合室⇒②小待合室⇒③面接室前、と3か所を移動しながら、自分の順番を待ちます。①までは、トイレ(運営スタッフの付き添い付き)、直前の勉強(基本、紙ベースの教材のみ。スマホ等を使うのはダメ)、はできます。③では、いずれももはや許されません。
問題は②ですが、「トイレは許された」という報告と「トイレは許されなかった」という報告と「どうしても、という場合だけ許された」という報告の3種類がありました。
また勉強につき、昨年度は②までできましたが、別の年度では禁じられた、という報告があったこともあります。

3.通訳時間
通訳の時間要件については、「問題文の読上げ終了後直ちに訳出開始、1分以内に終了」が原則です。
しかし近年は、この要件が「1分30秒」まで緩められた、という報告が多数派となっています。
ただ、受験者としてはあくまで厳しい方の「1分」で準備しておくべきです。この点については、以前シェアした通りです(「通訳の制限時間は?」)。

4.プレゼンの準備時間
プレゼンの準備時間は「30秒」です。ただ、事実上、この時間より長い時間を使うことができた、という以下のような報告があります。

それは、本来、(1)試験委員の冒頭説明(試験のやり方の説明)⇒トピックカードを受験者が見る(ここからカウント開始)、であるべきところ、実際には、(2)トピックカードを受験者が見る⇒試験委員の冒頭説明⇒説明終了後、カウント開始、であった、というものです。

(2)の場合、受験者は概ね、試験のやり方についてはあらかじめ承知しているので、冒頭説明を聞く必要はなく、この間(約30秒)をプレゼンのトピック選択と構成に使うことが事実上できます。すなわち、30秒+30秒=1分の準備時間を享受できた、ということになります。

5.プレゼンのメモ
プレゼンテーションの際にメモをすることができるか、については、オフィシャルには何も定められていません(通訳についてはメモ可能な旨、明定されている)。しかし、現実にはプレゼンでもメモが許される、という運用が受験者報告の大半です。

ただ、一部、プレゼンではメモ用紙がもらえなかった、という報告もあります。

運営については、基本的に受験者は受け身の立場です。

受験者は、とにかく「何があっても動揺せず、課題の内容に集中する」ということが大切だと思います。

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