音読の歴史

英語学習は音読!というのは、昔から言われています。私も大賛成です。

どんなに時代が変わっても、人が言葉を習得する基本は変わらない。音読の効果は普遍的です。

音読が頭や体に与える好ましい効果については、いろいろな人が説明をしています。

ここでは、音読の歴史について述べてみます。

1.素読

日本には、古くから「素読」という音読学習の文化があります。ひたすら声に出して読み、最終的には暗唱するものですね。

江戸時代に寺子屋などで、主に漢文を習うために用いられました。

そういえば「寺子屋」は、2023年度全国通訳案内士試験二次口述プレゼンに出題されています。寺子屋の意義は、日本人の知的レベルを向上させ、明治維新の成功につながった、ということでした。

モデル・プレゼンテーション集 過去問編19

この「素読」は、後に蘭学や英学に応用されます。

 

2.シュリーマン

トロイ遺跡を発見したシュリーマン(1822-1890)は、18か国語を操ったといわれています。

シュリーマンは、トロイ発掘のため、まずはその資金稼ぎのため商人になり、成功します。外国とビジネスをするために、外国語を勉強したのですね。

著書『古代への情熱』の中で、外国語学習法について触れています。その中でトップに上げられているのが「大きな声でたくさん音読する」でした。

古代への情熱 (角川ソフィア文庫) 文庫

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3.英語有名スピーチの音読・暗唱

日本では昔から、ポピュラーに行われています。素材としては、古くはリンカーンの「ゲティスバーグ演説」が有名です。戦後のものでは、「ケネディ大統領の就任演説」、キング牧師の「I Have a Dream」、などがあります。最近では、スティーブ・ジョブズの「Stay Hungry, Stay Foolish」なども知られています。

大正から昭和時代にかけて、多くの人がこの方法で英語を勉強されました。

美しい英語と、古典の教養が自分の体内に丸ごとインストールされる感じがして、とても楽しいものです。

今でも、人気の勉強法です。

 

4.只管朗読

同時通訳者、参議院議員、文化人類学者、サイマルの創立者、の故・國広正雄先生が英語勉強法として提唱されました。

「只管」とは、「ただひたすらに」という意味で、曹洞宗の開祖である道元の言葉「只管打坐」(ただひたすら座禅すべし)から来ています。

國弘流英語の話しかた

 

5.受験英語の「音読」

受験英語といえば、読み書き偏重、というのが一般のイメージでしたが、今は、有名な予備校講師らも、こぞって受験勉強のための音読を推奨しています。

ただ、一般の中高生は、「音読しなさい」というだけでは、全く抑揚なく、お経のような棒読みをする人も多いからか、これらの先生たちは、「意味や構文を意識しながら音読しなさい」と言われているようです。

 

6.タイマー音読(全国通訳案内士試験二次口述プレゼン対策)

これは、私、杉森の提唱ですね(笑)。

課題は2分間の即興スピーチですので、この対策として、2分間のタイマーをかけながら、モデル・プレゼンテーションを音読する、というものです。

これは、次のような趣旨に基づいています。

全国通訳案内士試験二次口述のプレゼン課題は、2分、即興、英語で、通訳ガイドが外国人観光客に語り掛けることの疑似として、という、極めて難度の高い条件が課せられた課題です。

しかも、導入、本体、結論、というスピーチとしての構造も、満たしておかなければなりません。

このように難しい技術を身に着けるための方法論として、日本に昔からある「守破離」(しゅはり)の考え方を導入します。タイマー音読は、「守破離」のうち、最初の守の段階に行うエクササイズです。

守(初心)の段階では、文句を言わず、ひたすらお手本をコピーすべし、というのが、守破離の考え方です。

このタイマー音読は、極めて単純、極めて短時間(2分)、かつ、無料で行うことができます。

タイマーは、上のYouTube動画、モデル・プレゼンテーションは、プリント教材「ドリル式 モデル・プレゼンテーションBest集 Vol.3」が、PEP英語学校オンラインストアで、0円にてダウンロードできます。

タイマーは大画面なので見やすく、時間管理を自動化しているため、学習者は音読する英語や、内容の構造へ意識を向けることができます。

プレゼンテーションは、楽しく教養が身につく、と評判のモデル・プレゼンテーションです。英文も教養あるネイティブのお墨付きで、安心して用いることができます。