甲信地方へ桜を追って(2)

 

穴場の恭倹寺を後にして、次の目的地はメジャーな松本城です。

通訳ガイド試験を勉強する方にはお馴染み、現存十二天守の一、国宝五天守の一、ご存知松本城の天守閣です。

小学生のときに3年間、私は松本で過ごしましたので、お城というと、まず松本城が心に浮かびます。

右手の朱塗りの欄干がある部分が、有名な「月見櫓」ですね。

江戸時代に、三代将軍家光を迎えるために造った、といわれています。

松本城天守閣は、犬山城と並び、国宝五天守の中で最も古いものとされています。

 犬山城

ちなみに「犬山城」は、2021年度、二次口述プレゼンに出題されていますね。

モデル・プレゼンテーション集 過去問編15』(「犬山城」のプレゼン掲載)

今年あたり、「松本城」が出題されるかもしれません。

松本城と犬山城は、どちらの方が古いのか、という議論は、あまり意味がないようです。

それは、城というものは、増改築を繰り返したり、古材を利用したり、名前を変えたりするからです。

つまり、どの部分を基準にするか、が定まらないと、比べようがないからですね。

これもガイド試験を勉強される方にはお馴染みの話ですが、日本の城郭は、木造建築でそもそも保存が難しい上、一国一城令、明治維新の廃城令、火事、天災、そして戦災、等を経て、現存する建造物は非常に貴重なものになっています。

松本城をはじめ、姫路城などは、現在は公園として整備され、保存がされています。

お城と桜はよく似合う、といわれ、有名なお城には現在、たいてい桜の木が植えられていますね。

先の恭倹寺で見た「寺社+田園+桜」のコンビネーションが古来のものであるのに対し、「お城+桜」のコンビネーションは、明治以降、近現代になって、お城が文化財として保護されるようになった後に生まれたものだ、ということになります。

 

 

紺碧の空、黒い天守閣、ライトピンクの桜、のコンビネーションは美しく、これに魅了されるのは日本人だけではありません。

松本城は、たくさんの外国人観光客でにぎわっていました。

外国人観光客の団体を案内する、通訳ガイドさんも見かけました(お仕事の邪魔をしてはいけないので、写真を撮ったり話しかけたりはしませんでしたが)。

団体客は、どうやらフランス人のようで、お客さん同士はフランス語で話していましたが、ガイドさんは英語のガイドでした。

通訳ガイドは現在人手不足、特に英語以外の言語ができる人は、貴重な存在なのかもしれません。

 (イメージ写真)

 

松本城は、天守閣のある本丸の部分は、有料区域となっています。

天守閣に登るには、ここへ入場料を払って入る必要があります。

私も天守閣に登るべく、列に並んでいたのですが、チケットを売っている窓のところで、女性の外国人の方が来て、窓口の人に英語で “I lost my ticket.  So, I want to buy another.” と言っていました。ところが、窓口の人はこの英語が分からない様子でした。

この外国人の方は、かなり深刻な顔をしていたので、私が横から出て行って『「チケットを失くしてしまったので、買い直したい」とおっしゃってます!』と通訳してあげました。

  

結局、無料でチケットの再発行をしてもらって、問題は解決したのですが、この女性が “Thank you” と私に対して言った時の表情が忘れられません。地獄に仏、というような表情でした。

ある程度英語が話せる日本人の数も増え、自動翻訳機などもスマホに入っている現在でも、こんなことはまだまだあるのですね。

旅人というものは、知らない土地に来て、知らないうちにプレッシャーのもとに置かれて、小さなことでもパニックになります。

旅人には、できるだけ親切にしてあげるべきですね。

 

松本城では、桜の開花宣言後、8日間、「夜桜会」と称して、桜と天守閣のライトアップがなされます。

年に一度の幻想的風景を見ようと、たくさんの人で込み合いました。

 

 

 

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