具体例を入れないと2分もたない

全国通訳案内士試験二次口述のプレゼンテーション課題で受験者は、与えられた日本的事物につき、即興で2分のスピーチをさせられます。

難度の高い課題ですが、その難しさにも種類があります。すなわち、①そもそも、そのトピックについて知識ないし英語の語彙がない、という場合と、②そのトピックにつき一応知っているが、何をどう話してよいかが分からない、という場合です。

①はインプットの問題で、②がアウトプットの問題です。今回は、後者についてお話しします。

上は、プレゼンテーションの基本構造です。

上記の中で、「導入」と「結論」部分は、選択トピックが決まればほぼ自動的に決まるといえます。

たとえば、お題が「和食」だとします。その場合、導入部の「題の告知」は、I’d like to talk about washoku. となり、②「定義」は、Washoku is Japanese cuisine. となります。結論部の「意義・お勧め」と「結辞」は、Washoku will help you appreciate Japanese culture.  I hope you enjoy washoku.  Thank you. のようになります。

よって、問題は「本体」になります。分量的・時間的にもここが最も多いので、勝負どころです。

ここでは、具体例を入れることが大切です。

逆に、一般論、たとえば和食の場合なら、和食は季節の新鮮な素材を用いる、脂肪分が少なくローカロリーで健康的である、見た目の美しさを重視する、等々を言うだけで、70秒もたせるのは非常に困難です。

また、聞き手にとっても、こうした一般的な抽象論だけを聞かされるのは、教科書を読み聞かされているような感じで、あまり魅力的ではありません。

特に「和食」のような「食べ物」がお題の場合は、聞き手に「美味しそうだな、食べてみたいな」と思わせるプレゼンを目指すべきです。なぜなら、食べ物は外国人観光客にとって「観光アトラクション」の1つだからです。だからこそ、締め括りは「ぜひ和食を食べてみてください」というお勧めになるのです。

そうだとすれば、聞き手に具体的イメージを与えるべく、和食の具体例(懐石料理、ラーメン、かつ丼…)を挙げ、素材やその調理法を説明すべきです。

具体例を導入する際、重要なのが「繋ぎ言葉」です。すなわち、「数ある和食の中で1つ例を挙げますと…」といったフレーズですね。いろいろなバリエーションがあり得ますが、難しくはありません。たとえば One popular washoku is ramen.  と言えば事足ります。

そして、この「ラーメン」の説明については、インプットの問題となります。インプットで重要なのが過去問です。

 「ラーメン」のプレゼン例掲載『モデル・プレゼンテーション集 過去問編⑬

インプットに過去問を使うべき理由は、「過去問は繰り返す」からです。

こうして「型」(構造)を意識することにより、応用が利くようなります。

テンプレは、恥ではなく役に立つ!(二次口述特別動画セミナーより)

型(テンプレ)の利用は、決して安直な方法ではありません。

話し手と聞き手の両方にメリットがあり、古来の研究の成果である「王道」です。

コミュニケートするには、話し手と聞き手の間に「共通項」が必要です。スピーチの三段構造、抽象論はまとまっているがわかりにくい、具体例は分かりやすいが分量が多い、等々は、普遍的原則であり、まさに「共通項」なのです。