知らない単語は?

本年度の全国通訳案内士試験二次口述まで、いよいよあと3週間となりましたね。

私の行っているSkype個人レッスンも、佳境に入ってきました。その中で、逐次通訳のレッスンをしている際に気付いたことをシェアします。

私のレッスンでは、課題の通訳がうまくいかなかった場合、その原因を明らかにすることを重視しています。

たとえば、①聴き取り・リテンションを失敗したのか、それとも、②単に問題文中の日本語に対応する英語表現を知らなかったから訳せなかったのか、ということです。

上の2つは、複合的に原因となることがあります。すなわち、問題文を聞いている最中に、該当する英単語を知らないような日本語が出てきて、それにより精神的に動揺し、以降の問題文を聞き取れなくなる、という場合です。

たとえば、問題文が「日本の果物は単に美味しいだけではなく、独自の品種改良により、大きいものや形の美しいものがあり…」(『2022過去問詳解(上)』に掲載)だったとします。

この文章中の「品種改良」を聞いたところで「えっ!『品種改良』って英語でなんて言うんだろう?知らない単語を出されてしまった!」と精神的動揺をきたしてしまい、それ以降を聞き逃してしまう、というケースですね。

こうした失敗は、メンタルに起因するものですから、これを避けるために必要なのは、メンタルを鍛えることです。

鍛えたメンタルとは何か。それは、練習量を通じて培われる「私は日本語で言えることなら英語で言える」という自信です。

実際、上の例は「品種改良」という言葉に対応する英単語を知らなくても、落ち着いて考えれば、訳すことが可能です。

たとえば、Japanese fruits are tasty. Also, Japanese farmers worked and developed large or beautiful fruits. と言えれば、十分満点が付きます。

つまり「独自の品種改良」は、work and develop と中学校レベルの単語で表されてしまったわけですね。

ただ、これができるようになるためには、やはり練習量が大切なのです。

合格体験記(2021):「日本語で話せることなら英語で話せる」と不動の自信を得て合格!

私の単語に関する考え方は、以下の通りです。

1.全ての単語を知ることは不可能である。しかし、それでも通訳や会話はできる。

2.通訳で未知の単語が出てきた場合の対応法は、
①言い換えを考える(そもそも訳とは意味を訳すことであって、和英辞書的に単語と単語が対応していることが良い訳とは限らない)、
②省略する(個別の単語がなくても、文脈から意味が伝わる場合も多い)、
③日本語のままで言う(日本的事物の多い当該試験では「日本語のまま」が正解、の場合も多い)、
等である。これでかなり対応できるのであり、精神的動揺を受けて止まってしまうことこそ恐れるべきである。

3.ただ、語彙は多いに越したことはないので、インプットの不断の努力は続けるべきである(インプットは繊細に、アウトプットは大胆に)。特に、一定の「言い換えの利かない名詞」は、コツコツ日常のスキマ時間を使って覚えるようにする。

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