全国通訳案内士試験二次口述のテーマは、「外国人観光客の関心事」です。その中には、「日本語」という言語自体も含まれます。
日本語には、次のような特徴があり、出題もされています。
(1)文字の種類が多い
カタカナとひらがなが50ずつ、漢字が数万もある。
2014年度通訳(『H25-26過去問詳解ダイジェスト』に掲載)
現在の日本語で使用されている文字には、表音文字であるひらがなとカタカナがあります。これらの文字は、2世紀から3世紀に中国から伝わった表音文字である漢字の一部を抜き出したり、あるいは簡素化したりすることによって造られました。
⇒表音文字 phonogram、表意文字 ideogram、一部を抜き出す derive、簡略化する simplify、等の語彙が必要です。
(2)助数詞の数が多く、用法が複雑
助数詞とは、~個、~匹、~頭、~枚、等、物を数えるときに使う言葉です。日本語は数百もの助数詞があるといわれており、日本語を学ぶ外国人にとって悩みの種となっています。
2015年度プレゼンテーション「日本語の数の数え方」(『H27過去問詳解ダイジェスト』に掲載)
⇒助数詞は、英語で counter といいます。
(3)同音異義語が多い
これは、日本語の言葉遊びのところでよく出てきます。「御節料理の『鯛』は、『めでたい』に通ずるので縁起が良い」というような話ですね。
⇒同音異義語は homophone といいます。
そして、これは未出題ですが、「一人称代名詞の種類が多い」が挙げられます。
私(わたし、わたくし)、あたし、俺、僕、わし、おいら、拙者、それがし…)
夏目漱石の『吾輩は猫である』は、英語では “I am a Cat” です。
「吾輩」は、I とは異なり、男性的、威張っている感じ(この小説は、猫が冷めた目で人間の愚かなところをナレーションする、という設定になっています)等のニュアンスを表しています。
そういえば、「夏目漱石」は、2017年度のプレゼンテーションで出題されていますね。
一人称人称代名詞は、英語で first-person pronoun といいます。
日本語には、天皇だけが用いる一人称代名詞がありますね。「朕」(ちん)です。
古語のように思われますが、実は、昭和天皇は有名な玉音放送の中で、この人称代名詞を用いています。
平成の頃、当時の明仁天皇(現在の上皇)陛下に誰かが「陛下はご自身のことを『朕』とおっしゃいますか?」ときいた人がいたそうです。
これに対してのお答えは「言わないねえ~」だったとか。