本年度の全国通訳案内士試験の合格発表を受けて、PEPへお寄せいただいた「合格の喜びの声」をご紹介します。
(以下引用)
杉森様
おかげさまで合格いたしました。
オンライン等の受講は致しませんでしたが、YouTubeや資料は使わせていただきました。
列挙すると;
・2018~2021年度の『二次口述過去問詳解』
・『逐次通訳七番勝負!』
・PEP単語カード(自分で印刷)
・2022二次口述特別動画セミナー
になります。
この資格に挑戦される方のバックグランドは様々だと思いますが、私の場合は外資の会社に勤めること35年間、ずっと英語が標準語の世界にいたので、仕事のことは「英語で考え」ていてその時は日本語を意識していませんでした。
そのあとも国際プロジェクトの裏方を3年間。しかし、通訳となると、まさに杉森先生おっしゃるところの「特殊な言語活動」で英語を使っていても日本語を意識しなければならないことに戸惑いました。
テクニックとして固有名詞と数字以外のメモは取らずにあとは「抽象化、中立化する」、というのが難しく、なかなか絵になるような概念というのは限られているような気がして一つの壁になりました。
もう一つの壁は、歴史、地理や文化とそれに関する単語を知らない、ということでした。ずっと技術系の仕事をしてきたので日本史、日本地理というと半世紀前の中学校の知識で止まっていて、またそのころと今ではかなり内容が違って(進歩して)いてかなり驚きました。さらに、この歴史・地理で学んだ内容も、英単語を全く知らないので苦労しました。
最後の壁は実務と一般常識(という名の観光行政)で、全くの分野違いで過去の経験が役に立たないし、特に観光白書は考えてもわかりようのない事柄の暗記(ある年に何かが2位だったものが翌年は3位になる必然性がない)ものだったので覚えにくく、昨年度はこの二つを落としました。
幸か不幸かコロナのせいで、この3年間はいろいろな数字が大きく変わったので、今年度はむしろその変動に明確な理由があったので覚えやすくなり無事一次通過。
昨年度、肝心な英語一次はどうしたかというと、過去問を見たところ歴史や地理に疎いのにそういう出題もある英語の一次試験を受けるのは危険と考え、迷わず TOEIC で免除、を選択しました。
今年度、無事一次を通過してから二次の準備にも本腰を入れ始めたのですが、逐次通訳がやはりとても難しく、最初は頭が真っ白になりました。そこで動画セミナーのとおり、まずは日本語のまま再現するところから始めました。
プレゼンについては過去問からの傾向をPEPブログを参考にしながらヤマをはり、該当または関連のモデルプレゼンを読み込みました。ただ丸暗記はかなり不得手なので、時間感覚を養うというよりは内容を理解して単語を覚える、という使い方でした。
単語カードはスキマ時間に使えるので大変便利でしたが、それだけで語彙を増やすための丸暗記というのはつらい。ひとつながりのモデルプレゼンの文章で内容を理解して押さえとしてカードで単語を確かめる、という使い方をしました。
では、逐次通訳やプレゼンの1分、2分の時間管理はどうするか。これは過去の仕事の経験が効いていて、箇条書きになっているスライド1枚をプレゼンするのに約1分必要、ということが分かってるので、ヤマをはったお題について自分で知っている項目のスライド1.5から2枚分の箇条書きカードを用意するという作業をしました。
よく知っているお題ならば収まるように項目を絞る、よく知らないお題であれば調べて項目を増やす、というように。カードを作っていくうちにお題ごとの箇条書き項目は覚えていくので、あとはそれに沿って話をすればよい。
タイマーは私には向いていなかったようで、かえってプレッシャーになってしまったのですが、このカード方式で時計を見ないでプレゼンをしてストップウォッチで計測すると、大体1分半から2分に収まっているのでまあこれで良し、としました。
結局、本番ではヤマが全部外れたのですが、二次試験の場でお題を見てから今回新たに勉強したお題よりも自分が実際に見聞きしたことがあるものを選び(その方がQ&Aで対処しやすい)、それについて頭の中で即興でカードを作る、という対処をしました。まあまあの時間に収まっていただろうと思います。
質疑応答は全く土地勘のないお題だったので内容的にはかなりお粗末で、終わった直後からああ言えばよかった、こう言うべきだったと落ち込みましたが、とにかく止まらない、黙らないことと(内容はお粗末でも)会話として成り立っていることの2点だけに集中しました。
二次の採点基準も自分の出来も皆目見当がつかず、てっきり落ちたものだと思っていましたが、合格していたのでホッとしました。
今後については「合格後を考える」に出てきた③に近いでしょうか。ボランティアガイドというよりは起業マインドで準備をしながら、「さらなる向上」部分は数年計画でほかの言語に挑戦するか(無謀)、はたまた全く別の資格に挑戦するか、何かしらはするつもりでいます。
(引用終わり)