2分プレゼンは実質1分

全国通訳案内士試験二次口述の「2分即興プレゼン課題」は、一次と二次を通じたこの試験の最重要課題だといえるでしょう。

全ての筆記試験科目も、結局のところプレゼン課題ができるようになるためにあります。逆に言えば、プレゼン課題ができるようになるように努めることが、他の科目や課題の対策としても有効です。

では、プレゼン課題の正しい勉強法はどのようなものでしょうか。

私がスカイプ個人レッスン等で普段からお勧めしているのは、「1分ネタを蓄えよ」です。

「1分ネタ」とは、具体的な観光アトラクション、たとえば「皇居」(観光スポット)について、1分で紹介する準備のことです。


2分プレゼンは、冒頭に「トピック告知」「定義」等、末尾に「まとめ」(再抽象化)や「お勧め」「結辞」等、定型の一般論部分がありますから、実質(具体例の説明)部分は、1分です。つまり、1分の説明ができればOKということになります。

たとえば「東京の観光名所」というお題が出された場合、プレゼンは次のような構造となります。

①トピック告知:「私は東京の観光名所についてお話します」

②定義:「東京は日本の首都であり、本州の中央部に位置しています」

③具体例の導入「東京にある数多い観光地のうち、皇居を取り上げてご説明します」

④具体例:「皇居はそもそも…」(ここで「1分ネタ」)

⑤再抽象化:「東京は観光地として魅力的な場所です」

⑥お勧めと結辞:「ぜひ東京をご訪問ください。ご清聴ありがとうございました」

通訳ガイド試験のプレゼンは、あくまで「観光ガイドが外国人観光客に対して話す態様」という前提がありますから、上記のような構造になります。

上記①~⑥のうち、知識の準備が必要なのは④のみです。この④(1分ネタ)を蓄えるのが、プレゼン対策インプットの中心となる、ということです。

さらに、この「1分ネタ」は、次のような構造でまとめておくとよいでしょう。皇居を例にしますと、

(1) 定義:「皇居とは、天皇の住居で東京の中心に位置しています」

(2) 由来:「もともと現在の皇居は『江戸城』といい、日本を支配した徳川幕府の本拠地でした。19世紀後半の明治維新の際に、新政府に引き渡され、皇居となりました」

(3) 現状:「現在、皇居は、天皇家の居住部分等を除き、公園として一般公開されています。天守閣は現存していませんが、櫓、門、石垣、堀などの江戸城の遺構を見ることができます。近代的ビル街の背景と封建時代の城のコントラストは、目を見張るものがあります」

「皇居について」のプレゼン例掲載『モデル・プレゼンテーション集(予想問題編)VOL.3』

このように、「1分ネタ」は、(1) 定義、(2) 由来、(3) 現状、で成り立ちます。これを蓄えておき、応用する練習をするとよいでしょう。

たとえば、出題されたトピックが「明治維新」でも、その中に「皇居」の「1分ネタ」をはめ込むことで対応できます。

すなわち、③具体例の導入の部分を「明治維新に関連するスポットとして、皇居があります」と変えれば済むことです。

「江戸城」のプレゼン例掲載『モデル・プレゼンテーション集 過去問編Ⅴ』

このように、2分プレゼン課題の準備の要諦は、「1分ネタ」をパターンにはめ込む演習、といえます。

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