解答中に時計を見てもOK?

全国通訳案内士試験二次口述の解答には、ご存知の通り、以下のような厳格な時間要件があります。

1.プレゼンテーション:考慮30秒、プレゼン2分
2.外国語訳(通訳):読上げ終了後直ちに訳出開始、1分以内に訳出終了
3.実務質疑:問題用紙の黙読・解答準備に30秒

この時間要件についての最新の詳細は、書籍『2021二次口述過去問詳解(上)』「二次口述動画セミナー」などをご覧ください。

これらの時間要件は基本的に「形式的時間要件」(詳細は『2021二次口述過去問詳解(上)』の「第4章 各課題内の時間管理」参照)です。つまり、この時間制限に違反する人は、採点対象とされない、という厳しいものです。

では、受験者は本試験の面接室で、自分で時計を見ながら時間管理をするべきなのでしょうか?

実は、答はノーです。面接中に音のしない腕時計を見ることは別に禁じられていませんし、マナー違反にもなりませんが、時計は見るべきではありません。

原則として、タイムキーピングは試験官の役割です。解答の開始と終了は試験官が指示しますから、受験者としてはその指示に素直に従っていれば、それで済みます。

もっとも、たとえばプレゼンテーションでは、「考慮30秒要件」の方は試験官の指示に素直に従えばそれでOKですが、「プレゼン2分要件」の方は、プレゼンが早く終わった場合、失格にはなりませんが減点となったり、もう少し話すように試験官から促されたりします。

逆に2分以内に終了できない場合は、途中で打ち切られてしまい、中途半端に終わった、という印象のプレゼンになってしまいます。

つまり、この場合は実際上、受験者側でタイムマネージメントをする必要があることになります。私はこのことを「実質的時間要件」と呼んでいます。

しかし、この場合でも時計を見るべきではありません。なぜなら、時計を見ると課題の内容に割くべき集中力が著しく削がれるからです。2分の時間感覚は、受験準備の段階で「体に覚えさせる」べきです。

この2分感覚を体に覚えさせる練習の第1歩が、私の提唱している「タイマー音読」なのですね。

「タイマー音読」とは、プレゼン専用2分タイマーをかけながら、モデル・プレゼンテーションを音読する、という単純な1日2分のエクササイズです。この積み重ねが、ラストスパートでの基礎体力を作ります。詳細はPEPブログのこちらの記事。

PEP英語学校で行っているSkype個人レッスンでは、常にこの専用タイマーを用いて演習をします。

そして、12月の本試験直前になると、仕上げの意味で、受講者の方にはタイマーを見えないように隠した上でプレゼンを行っていただきます(本番では時計を見ないことを想定しているから)。

すると、ほぼ全員の方が、時計を見ずに即興プレゼンを1分55秒などでビシッと結辞まで言い終わる、という見事な時間管理を見せてくださいます。

練習の時は、専用の時計を必ず使って時間感覚を体得し、本番では時計を見ない、これが正解です。

▶PEPニュース
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