全国通訳案内士試験の勉強をされている皆さま、調子はいかがですか?
通訳ガイド試験ではご存知の通り「日本的事物を英語で説明させる」が最大のテーマです。その関連で、今日は「二重の日本事象」という話です。
この「二重の日本事象」とは、私の造語です。すなわち、説明すべき対象たる日本事象が、別の日本事象を前提としているもの、を指します。
たとえば、2021年度の二次口述プレゼンで出題された「出島」は、その例です。出島を説明するには、当然の前提として「鎖国」(H26、2020に出題)を説明しなければなりません。
要するに、日本事象が2つ重なったお題であり、1問で2問分の説明が必要、ということもできます。つまり、レベルの高い問題だということです。
実は、私は昨日、ようやく2021年度の過去問の後半部分(時間帯4~6)に出題された問題の解答例を書き終えたところです(『2021過去問詳解(下)』の脱稿間近!)。
書き上げて気が付いたのは、この年には特にこの「二重の日本事象」の出題が多かった、ということです。つまり、出題が難化している、ということですね。例を挙げてみましょう。
◆能面(2021時間帯4):「能面」の説明には、「能」が前提となる。
◆七夕飾り(2021時間帯4):「七夕飾り」の説明には、「七夕」(H28出題)が前提となる。
◆城下町(2021時間帯4):「城下町」の説明には、「戦国時代」が前提となる。
◆文明開化(2021時間帯6):「文明開化」の説明には、「明治維新」(H26、2019)が前提となる。さらに「明治維新」の前提は「鎖国」である(H26、2020)。
◆流しそうめん(2021時間帯4):「流しそうめん」の説明には、「そうめん」が前提となる。
さて、ではこうした傾向の対策は何でしょうか?
それは、基本的事項については「簡潔に説明できるよう準備する」ことです。説明するべき事項の数が増えても、プレゼンの時間は2分間で同じなのですから、基本的な日本事象説明は「ロングバージョン」だけでなく「ショートバージョン」も備えておく必要があるわけです。
勉強すべき量が多い中、なかなか大変かと思いますが、最近の傾向を見る限り、この「二重の日本事象」は、避けて通れない課題です。
たとえば、2021年度時間帯4のプレゼンの三択の組み合わせは、次のようになっています。
①デジタル庁 ②城下町 ③七夕飾り
先述のように、②と③は「二重の日本事象」問題です。これがダメとなると、①デジタル庁、を選ばざるを得なくなります。
私は「二次口述特別動画セミナー」等で述べていますが、プレゼン三択の選び方は、原則として「観光アトラクションもの」(「城下町」と「七夕かざり」はこれに該当)狙いで行くべきと考えます。
時事解説問題(「デジタル庁」はこれに該当)は最初から捨てる、という戦術はアリですが、観光アトラクションものを捨てる、というのはさすがに無理です。
よって、観光アトラクションものが「二重化」する傾向が顕著である以上、この対策を取る必要があります。
では、具体的にどうすればよいのか?
それはやはり、過去問研究なのですね。答は常に過去問にあります。なぜなら、「何がガイド試験的に『基本的日本事象』か」は、結局、過去問が決めるものだからです。
▶PEPニュース
・「正倉院」も「二重の日本事象」です(正倉院の前提は「東大寺」)。「正倉院」のプレゼンが載っているのは、『H30過去問詳解(上)』と『モデル・プレゼンテーション集 過去問編Ⅸ』です。
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