こんにちは。杉森です。
少し前のメルマガで、『モデル・プレゼンテーション集』の中には、漫画『美味しんぼ』の「本歌取り」が結構ある、という裏話をいたしました。
その1つが「おせち料理」のプレゼン(過去問編Ⅷに掲載)で、これは『美味しんぼ』(10)「おせちと花嫁」が本歌です。
黒豆をキレイに美味しく煮るには、ものすごく手間が掛かる、という話を、心温まるラブストーリーとして展開した、『美味しんぼ』神回の1つですね。よければ読んでみてください。
私はモデル・プレゼンテーションを書く際、日本の伝統的な事物を説明するために、現代的なポップカルチャーを絡める、という手法をよく用います。
こうして書いた別の例をご紹介しましょう。これは『美味しんぼ』ではなく、アメリカ映画の本歌取りです。
通訳案内士試験の二次口述プレゼンで、2016年度に「盆栽」が出題されています。『モデル・プレゼンテーション集 過去問編Ⅴ』に、解答例が掲載されています。
私は「盆栽」を説明するために、映画『ベスト・キッド』(英題は “Karate Kid” )を持ち出すことにしました。
『ベスト・キッド』は、第1作が1984年と、もうだいぶ前になりました。『バック・トゥー・ザ・フューチャー』などと同時期の作品ですね。
この映画は、劇中に、空手の他に茶道や盆栽などが登場し、アメリカにおける日本文化に対する興味を喚起する、非常に大きなインパクトのある作品だったようです。
現在、ネットフリックスで続編が製作されているのをご存知の方も多いでしょう。
さて、『ベスト・キッド3』では、空手の先生のミヤギが、彼の長年の夢である盆栽ショップを開くのを、主人公のダニエル少年が助けるため、沖縄で稼いだ自分のお金で店舗を準備し、ミヤギにプレゼントする、という感動的な話があります。これを使わせてもらうことにしました。
プレゼンテーションでは、まず、おぜん立てとして、「盆栽は自然美を写し取ったものである」「戦争で一時衰退したものの、戦後蘇り、現在で訪日の要人へのプレゼントに用いられ、喜ばれている」という話をします。そして、次に『ベスト・キッド』を紹介します。
“Americans became interested in bonsai and Japanese culture as a whole after they had seen the “Karate Kid” movies, in which the main character, Daniel, helps his karate sensei, Miyagi, open a bonsai shop.”
(アメリカには、映画『ベスト・キッド』シリーズで、主人公のダニエルが、自分の空手の先生であるミヤギを助けて盆栽店を開くのを見て、盆栽やその他の日本文化全体に興味を持ち始めた人がたくさんいます。)
こうしておいて、次のように話を締めくくりました。
“So, bonsai signifies love of nature, peace, and friendship. I hope you will appreciate this great Japanese art. Thank you.”
( このように、盆栽は自然への愛、平和、友情の象徴なのです。ぜひ、この素晴らしい日本のアートを味わっていただければ、と思います。どうもご清聴ありがとうございました。)
我ながらうまくまとまりました。私のお気に入りのプレゼンの1つです(笑)。
『ベスト・キッド』は、日本人からみると、考証の点でちょっと微妙な部分もあるのですが、アメリカ人の日本文化に対する素直な憧れが現れていて、私はいい映画だな、と思います。
ポップカルチャーは、親しみやすい形で、教養を伝えてくれます。
クリエイターに敬意を表しつつ、今後も楽しませてもらおうと思っています。
ではまた。
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