過去問の効用とガイド試験対策

前回お話した通り、私は現在、2021年度の全国通訳案内士試験二次口述の出題を、受験者の皆様から頂いた情報を元に再現・分析している最中です。

過去問研究は、受験対策講座を提供するPEPにとっても、受験を志す学習者にとっても、大変重要です。

これまでの出題再現を見れば明らかなように、この試験はかなりの難関です。過去問を学ばずに受験するのは「無謀」というべきでしょう。

過去問を学ぶ具体的メリットは、3つあります。

1つめは、出題について正確なイメージを持てることです。これは初心者にとって大きいでしょう。

2つめは、「ズバリ的中」を狙っていけることです。「過去問は繰り返す」は普遍の鉄則であることは、出題再現で証明されています。国家試験は、「一定の能力レベルに国がお墨付きを与える」ものである以上、必ず同じ問題が繰り返し出題されるのです。

3つめは、当該試験の「趣旨」が理解できることです。「趣旨」とは、この試験が受験者に問いたいこと、受験者に望む能力のことです。

実は、3つの中でこれが最も大切です。なぜなら、2つめの「的中」は受験者が常に望めることではなく、試験突破のためには、未知の出題に対する「応用力」が絶対必要だからです。応用するためには基礎ができていることが必要であり、この基礎のエッセンスが過去問にあるからです。

このように、受験者が過去問をしっかりと押さえることは、試験の本質を把握することであり、受験勉強の本道であるといえるでしょう。

通訳ガイド試験の二次口述は、2013年に現在の形式になって以来、すでにかなりの量の過去問が蓄積されています。これは、勉強のための素材が豊富であるという意味で、受験者にとって朗報といえます。

もっとも、かなりの量があるということは、逆にそれだけ勉強量も増えるということでもあります。

過去問研究は、合格のための「プラスアルファ」ではなく、「基礎」であり「ミニマム」です。必ず全部を見ておくことが必要です。なぜなら、ライバルは過去問を全て見ているからです。

ただし、ここでいう「ライバル」とは、合格率が10%の難関試験の「合格圏内」にいる人、のことです。逆に言えば、過去問を押さえていれば、それだけで全受験者の上位グループに入ることができる、ということでもあります。

2022年度以降の受験を考えておられる方には、時間のある今のうちに、過去問学習に着手されることを、強くお勧めいたします。